50th.LOVE LETTER

愛し君へ


夏真っ盛り。でも暦の上ではもう秋の今日この頃いかがお過ごし?

冷たいものの取り過ぎには気をつけてね。


夏が来れば思い出すことって君にはある?

刈川はね、高校2年生時の吹奏楽コンクールを思い出すよ。

当時、2年連続で東関東大会に出場していた我が部は前年度にコーチが辞任。

学生指揮者であった刈川が辞任したコーチの代わりを務めるような位置になったんだ。

でも当時16歳の刈川に付け焼刃的な専門知識では手に負えず、

さらに母校の甲子園初出場も重なり、残念ながら東関東には出場できなかったんだ。

「仕方がなかった」とたくさんの人に言われたけど、

神奈川県民ホール前の噴水で泣きながら部員に力 不足を謝ったよ。

16歳の夏の思い出さ。汗も涙も一生懸命やっている人にしか流れないよね。

あの夏確かに刈川もたくさんの汗と涙を流したよ。


刈川も君の制服を着ていた頃の思い出が聞きたいな。

でも隣に刈川がいないことに嫉妬してしまいそうだ。

BGM代わりにつけている甲子園の中継、

この時期になると冷蔵庫に必ずあるアイスティー、

食べ飽きてもなお食べ続ける冷やし中華、

そして汗をかきながら刈川の歌を聞いてくれる君。

「この夏を超える夏はない」と毎年思えるような夏にしたい。

君がいる限りこのセリフを毎年言えるような気がするよ。


今年の夏の事件として、3年近く使っていたキーボードのペダルが壊れたんだ。

実はペダルって意外と消耗品なんだ。

刈川は昔、立ってピアノを弾いて歌っていたんだ。

その時は全身でペダルを踏むから1年くらいで壊れていたんだ。

刈川はペダルのことを「右足の恋人」と呼んでいるよ。

そしてそんな恋人は毎日毎日刈川の右足に踏まれ、

それでも音を響かせて、なんて辛抱強い恋人なんだろうと思う。

もっと長く一緒にいられるようにもう少しだけ優しく踏んでみるね。

それと、朝起きた時に枕元にハチがいたんだ。

窓を閉め切って寝たから、どこから入ってきたのか全く想像が付かないんだ。

でもね、そのハチを見てすごく勇気をもらったんだ。

どこにも入る隙間がないような場所からでも、ハチはこの家に入ってきたんだって。

それはまるで、君の心に入る隙間 がないのに強引に入っていった刈川のようで。

想像のつかないことが世の中には起こる。この世には無限の可能性があるんだ。

刈川の歌が本当に月まで届くことを信じて、君に最高の夏を飾る音を届けよう。

次会える時まで会えない時間を大切に

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